ホーム新着情報下痢、腹痛、吐き気・・・感染性胃腸炎について 下痢、腹痛、吐き気・・・感染性胃腸炎について コメントする / 医療情報, 新着情報 / By kizuna-clinic-admin 黒川さん インドネシアに来てから、吐いたり、下痢になって、「胃腸炎」と診断されます。細菌だったり、ウイルスだったり、ストレスだったり・・。でも何がどう違うのかよく分かりません。 嘔吐をして下痢をする状態を「胃腸炎」といいます。その原因は様々ですが、インドネシアで最も多い胃腸炎は、細菌・ウイルス・寄生虫などに感染して起こる「感染性胃腸炎」ではないかと思います。 医師 この記事は、きずなクリニックの医師である マチルダがお話します。胃腸炎とは、胃や腸に炎症が生じ、下痢、腹痛、吐き気などが出てくる疾患の総称です。ウイルス、細菌、寄生虫感染によって発症することもあれば、ストレスや普段の生活習慣が原因となるもの(=過敏性腸炎)、自己免疫疾患やもともとの体質が関わるもの(=炎症性腸疾患)、薬剤性(抗菌薬、非ステロイド性抗炎症薬、抗がん剤、ステロイド薬)など、感染ではない場合もあります。今回は感染性胃腸炎について、1.感染性胃腸炎とは2.ウイルス性胃腸炎とは3.細菌性胃腸炎とは4.寄生虫性胃腸炎とはについてお話します。 きずなクリニックはインドネシア・ジャカルタにある日系クリニックです。16年間ジャカルタで日本人の健康をサポートしてきた、豊富な経験を持つ医師と 日本の看護師資格を持つ看護師 および日本人の医療関係者がアドバイザーとして常駐しています。日本とは異なる環境の中で病気になると、言葉・医療体制・治療方法など、不安に感じることも多いことでしょう。きずなクリニックでは、ひとりひとりの患者さんの不安に寄り添い、確かな医療技術と日本の医療を熟知したスタッフが患者さんとともに最良の方法を一緒に探していくことを目指しています。病気の時だけでなく、健康面で気になることがある場合には、どんなことでもお気軽にご相談ください。 健康面について相談する 目次 Toggle感染性胃腸炎とはウイルス感染性胃腸炎とは症状:潜伏期間および症状が治まってから他の人に移る期間:感染経路:治療:細菌性胃腸炎とは症状:潜伏期間:感染経路:治療:寄生虫性胃腸炎とは症状:潜伏期間:感染経路:治療:まとめ 感染性胃腸炎とは ウイルス、細菌、寄生虫などに感染することで、嘔吐・下痢が起こる感染症です。胃腸炎の原因になるウイルス、細菌、寄生虫は以下の通りです。ウイルス:アデノウイルス、アストロウイルス、エンテロウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス、サポウイルスなど細菌性 :カンピロバクター、クロストリジオイデス・ディフィシル、プレジオモナス菌、サルモネラ属、腸管ビブリオ、エルシニア・エンテロコリチカ、下痢原性大腸菌、病原性大腸菌、赤痢、腸チフスなど寄生虫 :クリプトスポリジウム、サイクロスポラ、赤痢アメーバ、ジアルジア、アニサキスなど ウイルス感染性胃腸炎とは 口から入ったウイルスが十二指腸から小腸の粘膜上皮に感染することで発病します。症状:感染した腸管がむくんで水っぼくなり、嘔吐、軽度の腹痛、水下痢が主な症状で、熱は出ないことも多いです。下痢よりも嘔吐の症状が強く出ることが特徴です。潜伏期間および症状が治まってから他の人に移る期間:潜伏期間は平均して1~3日、症状が治まってから他の人に移る期間は、3週間です種類潜伏期間他の人に感染の恐れがある期間アデノウイルス3~10日3週間アストロウイルス1~4日2~3週間エンテロウイルス3~6日1~3週間ノロウイルス1~2日3週間ロタウイルス2~4日3週間サポウイルス12~48時間1~2週間感染経路:1.「飛沫感染」:感染者の吐物や便が飛び散って、口からウイルスが侵入することで感染2.「接触感染」:感染者の吐物や便に触れた手で口元を触ったり、 ウイルスが付着している食品を生あるいは十分に加熱しないで食べることで感染治療:ウイルス性腸炎には特効薬はありませんので、安静と食事療法(食事制限)、症状によって薬物療法(整腸剤、制吐剤、解熱剤などを使用)を行います。嘔吐・下痢があるうちは、体力をつけるため無理に食事をすると、腸に余計に炎症が広がり逆効果です。しばらくはお食事をストップし、糖分や電解質をバランス良く含んだ常温の経口補水液やスポーツドリンクなどを少量ずつ頻回に摂取しましょう。嘔吐や下痢が少なくなってきて、食欲が出てきたら、消化にいいもの(おかゆ、うどん、茶わん蒸し、ゼリー、バナナ、リンゴなど)を少しずつ再開し、油物・乳製品・刺激物・繊維質の多いものは胃腸に負担がかかるため避けてください。適切な治療により、多くは4~5日で症状が軽快します。 細菌性胃腸炎とは 細菌に感染することによって起きる腸炎です。別名、食中毒とも言います。症状:腹痛、吐き気、嘔吐、下痢、血便、発熱など。ウイルス性に比べて下痢やお腹の痛みが強く出る傾向にあり、血便や高熱が出ることも多いです。潜伏期間:潜伏期間は下記の通りまちまちですが、他の人に感染の恐れがある期間は特定が難しく、便中の菌の排出がある限り数週間または、保菌者である限りずっと感染力を有している場合もあります。種類潜伏期間カンピロバクター1~10日クロストリジオイデス・ディフィシル4週間以内プレジオモナス菌1~2日サルモネラ属12~48時間腸管ビブリオ12時間エルシニア・エンテロコリチカ半日~6日下痢原性大腸菌病原性大腸菌3~8日腸チフス7~14日感染経路:ウイルス感染性胃腸炎と同様で、「飛沫感染」と「接触感染」です治療:脱水を防ぐための水分補給、安静、食事療法を中心に、症状に応じて整腸剤、吐き気止め、抗生剤などの薬物療法を行います。いずれの細菌感染性胃腸炎も通常、数日〜1週間程度で自然に症状が改善していきますが、症状が強い場合や起炎菌によっては抗生剤治療を行う必要があります。 寄生虫性胃腸炎とは 寄生虫が腸管粘膜に付着または侵入して、悪心・嘔吐・下痢・全身倦怠感などを引き起こします。症状:典型的な症状は慢性的な下痢で、多くは非血性ですが、アメーバ感染については便粘液や血液を含むことがあります。潜伏期間:アニサキス以外は比較的長期です。種類潜伏期間クリプトスポリジウム2~10日サイクロスポラ約1週間赤痢アメーバ2~4週間ジアルジア1~3週間アニサキス1~10時間感染経路:ウイルス感染性、細菌感染性胃腸炎と同様で、「飛沫感染」と「接触感染」です。通常は汚染された水(ハイキングやキャンプで遭遇する井戸水や普段使用されていない水源の水)の摂取が最も多い感染経路です。治療:寄生虫に効くお薬もありますが、有効な種類は限られています。抗生剤は寄生虫には有効ではないケースが多いため、基本的には対症療法となります。安静と食事療法(食事制限)、症状によって薬物療法(整腸剤、制吐剤、解熱剤などを使用)を行うことがあります。また、場合によっては内視鏡による摘出や、駆虫薬(虫下しの薬)が必要になったりすることがありますが、大半は安静、水分補給などの対症療法により1週間以内に自然に改善します。 まとめ 下痢・腹痛・嘔吐を起こす胃腸炎には様々な原因がありますが、インドネシアで最も多くみられるのは、・ウイルス性感染胃腸炎・細菌性感染胃腸炎・寄生虫性感染性胃腸炎です。いずれの感染性胃腸炎も安静・食事療法・水分補給などにより症状は1週間程度で自然に改善してくることが多いですが、細菌性の感染の場合、起炎菌によっては抗生剤の使用が必要であったり、抗生剤の種類も異なりますので、原因を特定することが重要です。当クリニックでは、便から感染性胃腸炎の原因となるウイルス・細菌・寄生虫を特定する検査を実施しています。原因特定により早い回復が見込めることがありますので、是非ご相談ください。 健康面について相談する