歯の受傷~欠けた、グラグラ、抜けた・・・どうすればいい?

泣く子ども
お母さんと歯を受傷した子供

佐藤さん

「子どもが転んで歯をぶつけました。大泣きして、口から血が出ています。
どうしたらいいいですか?」

お子様が転んで歯をぶつけた場合、お子様だけでなく、親御さんも驚かれ どのように対応すべきか
不安になることも多いでしょう。

まずは深呼吸!     その後は落ち着いてお子様の現在の状態をしっかり把握するようにしてください。
歯やお口の打撲・外傷では、迅速かつ適切な対応によって、その後の歯の状態を好ましい状態に
保つことができる可能性が高くなります。

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医師

この記事は、きずなクリニックの医師であるマチルダがお話します。

最近 お子様の歯の外傷について、お問い合わせをいただくことが増えています。
お子様が歯を受傷されたとき、驚きや痛みで泣き叫ぶお子様を前に どのように対応したらいいのか
迷われる親御さんも多いかと思います。

今回は、受傷時にまず行っていただきたいこと、そして受診の目安について解説いたします。

1.受傷した→まずするべきことは?
2.それぞれのケースの受診目安

きずなクリニックはインドネシア・ジャカルタにある日系クリニックです。
15年間ジャカルタで日本人の健康をサポートしてきた、豊富な経験を持つ医師と 日本の看護師資格を持つ看護師
および日本人の医療関係者がアドバイザーとして常駐しています。

日本とは異なる環境の中で病気になると、言葉・医療体制・治療方法など、不安に感じることも多いことでしょう。
きずなクリニックでは、ひとりひとりの患者さんの不安に寄り添い、確かな医療技術と日本の医療を熟知したスタッフが
患者さんとともに最良の方法を一緒に探していくことを目指しています。
病気の時だけでなく、健康面で気になることがある場合には、どんなことでもお気軽にご相談ください。

1. 受傷した→まずするべきことは?

子どもが転んで歯を受傷

お子様が歯を受傷された場合、お父さん、お母さんが動揺されると、お子様は余計に不安になります。
まずは、お父さん、お母さんが落ち着いて、下記の手順で状況を把握しましょう。

1)お子様を落ち着かせるために、優しく声をかけ、深呼吸を促してください

2)口の中が汚れている場合は口を軽くゆすがせる


3)出血があるか確認し、ある場合はガーゼ、ハンカチ、ティッシュなどで押さえて止血する


4)状態の把握
① 歯は欠けているか?
→歯が欠けている場合、かけらを探してください。
かけらは捨てたりせず、少し水で濡らしてラップやガーゼにくるんで病院を受診される際には持って行くようにしましょう。

② 歯はグラグラしているか?
 →強く触るのは避けてください。
 人差し指と親指で歯を挟み、左右に少し揺らしてみましょう。


③ 歯の位置がずれたり、めり込んでいないか?


④ 歯が抜け落ちていないか?
→抜け落ちた歯が汚れている場合は軽く水ですすいでください。
この時、歯の周りについている膜(=歯根膜)は絶対に取り除かずに、汚れだけを落とすようにしてください。
 病院受診までの間は、牛乳や生理食塩水などにつけて歯を乾燥させないようにしましょう。

2.それぞれのケースの受診目安

歯科医院受診の目安

1.歯が欠けている
転倒や衝突により強い衝撃を受けると、歯が欠けてしまいます。

① 欠け方が部分的で軽度な場合:
痛みなどの症状は出にくく、神経(歯髄)や歯周組織への影響も少ないことが多いので、緊急性は低いです。

→今すぐの受診は必要ありませんが、欠けた部分を詰めたり、かぶせたりする必要はないかどうか、受傷から1週間以内に受診されることをお勧めします。


② 欠けた部分が広範囲な場合、欠けた部分から赤い線が見える場合:
歯髄が露出していますので、そのまま放置すると歯の感染による強い痛みや歯肉の腫れが起こる危険性がありますので、すぐに処置が必要になります。

→すぐに受診しましょう

 

2.歯がグラグラしている
歯を打ったことで、歯がグラグラになったり、周りの歯肉から出血することもよくみられます。
歯の動揺は、歯を支える骨の部分がダメージを受けた場合に起こりやすいのですが、ときには歯の根が折れた(歯根の破折)場合にもグラグラになります。

もともと歯には歯根膜の弾力性により、わずかに動揺(=生理的動揺、0.2㎜程度)がありますが、受傷後はそれが大きくなります。
歯を両側から押さえてそっと揺らしてみましょう。

→揺れが0.2㎜~1㎜程度の場合は様子をみていただけることがありますが、判断がつきにくいとき、明らかに動揺しているときはすぐに受診が必要です



3.歯の位置がずれたり、めり込んでいる
乳歯や生え変わったばかりの永久歯の場合、外傷による歯の位置のずれや歯のめり込みが比較的多くみられます。

→歯の周りの骨が折れていることもありますので、放置は危険です。すぐに受診しましょう。

 

 

4.歯が抜け落ちている
歯が抜け落ちた(脱落)場合、条件がよければ歯をもとの位置に戻す(=再植)ができることもあります。

→すぐに受診をしましょう。
受傷から受診するまでの時間が短く、歯の周りの組織の損傷が軽度で、脱落した歯の保存状態がよいほど、再植が可能で、予後も良好になります。
以前は乳歯の再植は行わないケースが多かったですが、最近では上記条件がそろえば再植が試みられています。

まとめ

歯の受傷は、体の他の部位にくらべても最も発生頻度が高く、お子様の3人に1人が経験するといわれ、前歯を失う原因の第一位です。
歯をぶつけると、歯が欠ける、グラグラする、折れる、ひどいときには抜け落ちることもあります。

受傷時には、大きな声で泣く子どもにお父さん、お母さんもパニックになってしまうこともあります。
特に出血の量が多いと慌ててしまうこともあるかもしれませんが、できるだけお父さん、お母さんが落ち着き、冷静になって、現状を正確に把握することが重要です。

迅速かつ適切な対応によって、その後の歯の状態(予後)が異なってきます。
対応方法・受診の目安を記載していますが、判断に迷うとき、不安なときにはいつでもご相談いただければと思います。

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