山本さん
インドネシア・ジャカルタでワクチンの接種をしました。
本当に抗体ができたかどうか心配です。確認する方法はあるのでしょうか?
6月頃から外国人に対してもワクチン接種が行われるようになり、すでに接種済の方も増えてきましたね。
となると、今度は本当に抗体ができているのか、気になるところですよね。
医師
この記事は、きずなクリニックの医師である マチルダがお話します。
2021年より新型コロナウイルスのワクチン接種が世界的に積極的に行われるようになりました。
インドネシアでも、ワクチンを2回接種された方が2021年9月15日現在 約16%、1回接種終了の方が約28%となっています。
接種が終了したら、今度は気になるのは、抗体を獲得しているかどうかですよね。
実は抗体にも何種類かあり、ワクチンの効果を確認したいのであれば、それが分かる抗体を検査しなければいけません。
今回は抗体の種類とどの抗体を検査すればいいのか、そして当クリニックで実施した検査結果についてお話します。
きずなクリニックはインドネシア・ジャカルタにある日系クリニックです。
14年間ジャカルタで日本人の健康をサポートしてきた、豊富な経験を持つ医師と 日本の看護師資格を持つ看護師
および日本人の医療関係者がアドバイザーとして常駐しています。
日本とは異なる環境の中で病気になると、言葉・医療体制・治療方法など、不安に感じることも多いことでしょう。
きずなクリニックでは、ひとりひとりの患者さんの不安に寄り添い、確かな医療技術と日本の医療を熟知したスタッフが
患者さんとともに最良の方法を一緒に探していくことを目指しています。
病気の時だけでなく、健康面で気になることがある場合には、どんなことでもお気軽にご相談ください。
抗体の種類について
新型コロナウイルスは、スパイク(S)、エンベロープ(E)、メンブレン(M)、ヌクレオカプシド(N)の
4種類の構造タンパク質で構成されています。
抗体はこのようなウイルス構造のいくつかの部位に対して産生されます。
1.N抗体:コロナウイルスの丸い殻の中身である、Nタンパク質(ヌクレオカプシドタンパク質)に対する抗体です。
2.S抗体:コロナウイルスのトゲトゲの部分であるSタンパク質(スパイクタンパク質)に対する抗体です。
3.中和抗体:ウイルスを中和する能力のある抗体
【N抗体】
Nタンパク質をターゲットにした抗体は、Sタンパク質と異なり、突然変異などでアミノ酸配列の変化が起こりにくく、
また、タンパク質自体が大きく判別しやすい構造をしています。
多くのコロナウイルス抗原検査では、実はこのNタンパク質を検出するように設計されています。
新型コロナウイルス感染後は、Nタンパク質に対する抗体も Sタンパク質に対する抗体も上昇することから、
N抗体を調べることで感染後に抗体ができたかどうか分かります。
【S抗体】
ワクチンによる抗体産生の標的としている構造は、Sタンパク質です。
ワクチン接種により抗体が定着しているかどうかは、S抗体検査でないと判定できません。
このS抗体は、感染によるものだけでなく、ワクチン接種により抗体が産生されているかも把握することができます。
【中和抗体】
中和抗体とは、コロナウイルス スパイクタンパク質(S1、S2)の2つの構造のうち、S1 内の、
ウイルスが人の細胞に侵入する為に必要となる RBDに結合する抗体をいいます。
抗体検査では、それぞれ特定のタンパク質に対する抗体をどれくらい持っているのか調べることができます。
抗体価検査で分かること
抗体検査で、新型コロナウイルスに対する抗体が陽性であれば、ワクチン接種により体内に抗体がある状態と考えられます。
ここでポイントは、抗体が陽性で免疫を獲得している状態=新型コロナウイルスに感染しないということではありません。
ただし、再感染や重症化のリスクは低くなると考えられます。
新型コロナウイルスの経過についてはまだ明らかでない部分も多いので、引き続き感染予防に努めてください。
一方で、抗体検査で陰性が出た場合には、ワクチンによって抗体が十分にできなかった可能性があります。
どのワクチンを接種した場合でも一定割合の方に全く抗体が獲得できないことが分かっています。
ただし、スウェーデンのカロリンスカ研究所から出された論文では、抗体ではなく、T細胞が新型コロナウイルスを
特異的にやっつけるのではないかという仮説が出ており、陰性だからといって必ずしも免疫がないというわけでは
ありません。
なお、当クリニックでは、ロシュ・ダイアグノスティクスの機器・試薬を使用しており、基準値は、以下の通りです。
0.8U/ml未満で陰性
0.8U/ml以上で陽性
15U/ml以上で十分な中和抗体あり
250U/ml以上で高力価
ワクチン別の抗体価獲得状況
7月中旬~9月中旬までの約2か月間の間に、当クリニックで抗体価検査を受診された患者さんの
ワクチン別抗体価獲得状況を下記に示します。
(検体数が約50と限られていますので、あくまでも参考値となることをご了承ください。)
いずれもワクチン接種後2週間~1か月半の期間で受検されており、平均年齢は50.5歳、男性が49名、女性が2名でした。
検査の結果、いずれのワクチンによっても、接種者平均では中和抗体が十分に産生されているとされる
15U/mLを超えていました(表1参照)。
しかし、各ワクチン接種後の中和抗体獲得比率をみると、シノファームでは15U/mL以下が73.3%であり、
中和抗体の獲得が十分とは言えないことが分かりました。
一方でシノバック及びアストラゼネカについては、当クリニックで検査された方のすべてが15U/mL以上という
結果でした(表2参照)。
新型コロナウイルスワクチン接種後に抗体を獲得したかどうかを調べるには、
スパイクタンパクに対する抗体=S抗体を調べる必要があります。
抗体検査で陽性(0.8U/mL)となれば、体内に抗体があるという判定ですが、抗体価が15U/mL以上である場合には、
ウイルスを中和して、感染を防ぐという効果を発揮する中和抗体が十分あるということになります。
ただし、抗体があるからといって必ずしも感染を防ぐことができるかどうかは分かっておらず、引き続き
感染予防対策に努めてください。
きずなクリニックでは、新型コロナウイルス感染後およびワクチン接種後の抗体価検査を行っております。
そのほか、コロナウイルス感染後に起こる後遺症に対するケアにも力を入れています。
ワクチンや健康面でのご相談は、WhatsAppやお電話で24時間受け付けております。
お気軽にご連絡いただければと思います。
キズナクリニック 様
2回目のコロナのワクチン、シノバックを6月に受け終わっています。
ブースターとして、3回目にシノバック以外のできればファイザーを受けたいのですが、可能ですか。
有料でかまいません。
教えてください。