咳が止まらない原因・・・咳喘息について

咳が止まらない・・咳喘息について
男性患者

鈴木さん

風邪を引いた後に乾いた咳だけがもう1か月以上続いています。

息苦しさはないんですが、喉が痒いような…詰まったような…感じと、会話中、動いた後、
寝ているときに突然咳き込んで、夜も眠れない時があります。
風邪が治りきっていないのでしょうか、それとも喘息でしょうか。

喘息によく似た症状を持つ病気に「咳喘息」があります。

咳喘息は風邪を引いた後に起こることが多いため、風邪が長引いていると思われ放置されることが多いです。
そのまま放っておくと3~4割の患者さんは喘息へ移行してしましますので、自己判断をせずに
早めに医療機関を受診されることをお勧めします

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医師

この記事は、きずなクリニックの呼吸器専門医である アディティアがお話します。

近年では日本でも8週間以上続く慢性の咳症状を訴える方が増えていますが、ジャカルタは特に風邪の後の咳症状が続く方が多い印象があります。
長引く咳の原因として最も多いのは 咳喘息、その次はアトピー性咳嗽、副鼻腔気管支症候群、胃食道逆流症になりますが、
それぞれ使うお薬も異なるため、的確な問診・検査に基づく診断が必要になります。

今回は、長引く咳の原因として最も頻度が高い 咳喘息 について解説します。

1.咳喘息とは?
2.咳喘息の原因は?     
3.咳喘息の特徴は?
4.咳喘息かどうかの検査方法は?
5.咳喘息の治療法は?

について解説いたします。

きずなクリニックはインドネシア・ジャカルタにある日系クリニックです。
18年間ジャカルタで日本人の健康をサポートしてきた、豊富な経験を持つ医師と 日本の看護師資格を持つ看護師
および日本人の医療関係者がアドバイザーとして常駐しています。

日本とは異なる環境の中で病気になると、言葉・医療体制・治療方法など、不安に感じることも多いことでしょう。
きずなクリニックでは、ひとりひとりの患者さんの不安に寄り添い、確かな医療技術と日本の医療を熟知したスタッフが
患者さんとともに最良の方法を一緒に探していくことを目指しています。
病気の時だけでなく、健康面で気になることがある場合には、どんなことでもお気軽にご相談ください。

咳喘息は、気管支喘息によく似た症状を持つ病気ですが、気管支喘息とは異なり喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)、
胸の圧迫感、息切れがなく、1か月以上も続くしつこい空咳が特徴です。

咳喘息は、風邪が引き金となって発症することが多く、風邪が治っても咳だけが続く場合があります。
また、気管支喘息の前段階と考えられており、放置すると3~4割は本格的な気管支喘息に移行する可能性があります。

咳喘息の原因は?

咳喘息の原因

咳喘息の原因は、呼吸をするときの空気の通り道である気道の炎症です。
炎症を引き起こす白血球の一種である好酸球が、何らかの原因によって気道に集まってくることにより、

①気道が炎症する
好酸球は気道上皮を傷つける組織傷害タンパク(顆粒)をたくさん放出しており、
それによって気道に炎症が起こる

②気道の表面の感覚器が過剰に反応する
気道の表面を覆っている細胞がはがれ落ち、周囲の細胞を活性化する成分が放出されることにより、
色々な刺激に過剰に反応しやすくなって咳を誘発

③気道の広がり具合を調節する筋肉が過剰に縮む
色々な刺激に対して、平滑筋が過敏に反応して縮むと気道が狭くなり、その反応が咳中枢に伝わって
咳が誘発される

咳喘息の特徴は?

咳喘息の特徴・・夜の咳

咳喘息の特徴は下記のとおりです。

  • 8週間以上痰が出ない咳が断続的に続く
  • 風邪を引いた後に起こることが多い
  • 早朝や寝た時などの一定の条件が揃った時に症状が出やすくなる
  • 気圧の変化や寒暖差が大きいときに起こる
  • 市販の風邪薬や咳止めが効かない
  • 熱はなく、喉の痛みや寒気、倦怠感もない
  • 坂道などでも息切れしない
  • のどの異常感である「イガイガ感(痒い感じ)」と「しめつけ感」がある
  • 冷気やたばこの煙などを吸ったとき、会話・運動中に咳き込みやすい

咳喘息かどうかの検査方法は?

咳喘息かどうかの検査方法

1.問診
・喘鳴のような喘息の症状がなく、咳だけが8週間以上続いているか 
・これまで喘息と診断されたことがないか
・喘息治療に用いる気管支拡張薬で症状が改善するか
・アレルギー物質、温度差、気圧の変化などに反応して咳が誘発されるか

2.胸部レントゲン
通常レントゲンでは異常がみられない病気ですので、ほかの疾患との鑑別が可能です。

3.肺機能検査
咳喘息では、肺機能検査ではほぼ正常であることが多いと言われています。
一方で気管支喘息では、息を吐く力が低下します。
咳の原因となる他の病気の可能性がないか鑑別のために行います。

4.アレルギー血液検査(総IgE値、特異的IgE抗体・好酸球数測定)
咳喘息は、アレルギー体質の方が多い傾向があります。
血液中の好酸球数や総IgE値の測定、アレルギー検査でアレルゲンとなる物質がないかどうか検査を行います。

咳喘息の治療法は?

咳喘息の治療方法

咳喘息の咳が出る原因は、好酸球が気道に集まってくることにより、
①気道の炎症が起こる
②気道表面の感覚器が過剰に反応する(気道の過敏性)
③気道の広がり具合を調節する筋肉が過剰に縮む(気道の先端が狭くなる)

ためであるため、この3つを抑える必要があります。

①の炎症と②の過敏性はステロイド薬で改善されますが、効果の実感までにはやや時間がかかります。
③の気道の先端を広げるのは、気管支拡張薬が有効で、数分程度で効果が実感できます。

この2つを合わせた吸入薬(ステロイドと気管支拡張剤の合剤)が咳喘息のお薬になります。

吸入薬は気道に直接薬が行き渡り、飲み薬に比べて少ない量で有効のため、安全性にも優れています。

長引く咳の原因として最も頻度の多い「咳喘息」
風邪を引いた後に起こることが多いため、風邪が長引いているのだろうと思われがちですが、
数ヵ月以上、ときには数年続くこともあるやっかいな病気です。

咳喘息をきちんとした治療をしないままで放置すると3~4割の方が喘息へ移行しますが、
適切な治療を行うと、1~2か月程度で症状は消失します。
長く続く空咳の症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。

きずなクリニックでは、新しく呼吸器専門医を迎え、長引く咳の治療にも力を入れています。

咳喘息は、実は診断が難しい病気です。
これは、咳喘息の診断基準が明確でなく、似た症状の疾患が多いことが原因です。


当クリニックでは、専門医による問診・検査・診断を行っていますので、
咳に関するお悩みをお持ちの方は是非当クリニックにご相談ください。

健康面でのご相談は、WhatsAppやお電話で24時間受け付けております。
お気軽にご連絡いただければと思います。

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