新型コロナウイルス治癒後に後遺症が残ったら・・・?

コロナ後遺症
女性患者

田中さん

新型コロナウイルスに感染してから約3週間。
やっと陰性になった思ったら、動くとすぐに倦怠感が出るし、なんだか息苦しい気がする・・・。
味やニオイも完全に戻っていないかも!?

新型コロナウイルス治癒後に、倦怠感・疲労感、息が思うように吸えない、息苦しい、
味覚・嗅覚が戻らない、髪が抜ける、鬱のような症状が出る、やる気が出ない、、など
様々な症状が出ることがあるんですよ。

きずなクリニック医師

医師

この記事は、きずなクリニックの医師である マチルダがお話します。

新型コロナウイルスに感染後、すでに陰性になったとしても、ウイルスとの戦いが終わったということではありません。
例えウイルスが体内からいなくなっても、後遺症が続いてしまうケースがあるということをご存知でしょうか。

今回は、新型コロナウイルス治癒後に続く後遺症について解説します。

きずなクリニックはインドネシア・ジャカルタにある日系クリニックです。
14年間ジャカルタで日本人の健康をサポートしてきた、豊富な経験を持つ医師と 日本の看護師資格を持つ看護師
および日本人の医療関係者がアドバイザーとして常駐しています。

日本とは異なる環境の中で病気になると、言葉・医療体制・治療方法など、不安に感じることも多いことでしょう。
きずなクリニックでは、ひとりひとりの患者さんの不安に寄り添い、確かな医療技術と日本の医療を熟知したスタッフが
患者さんとともに最良の方法を一緒に探していくことを目指しています。
病気の時だけでなく、健康面で気になることがある場合には、どんなことでもお気軽にご相談ください。

後遺症が出た女性

これまで 他のウイルス性疾患、例えばエボラウイルスやデング熱などでも後遺症があることは知られていましたが、
新型コロナウイルス治癒後にも後遺症が出ることが分かってきました。

なぜ後遺症が出るのか・・・?
なぜ陰性になった後も不快な症状が続くのか・・・?

現在のところ その理由はまだはっきりとは分かっていませんが、新型コロナウイルスはスパイクと
呼ばれる突起がACE2受容体に結合することで細胞内に直接侵入・増殖して、組織を障害します。
このACE2受容体は肺、脳、鼻や口腔粘膜、心臓、血管内皮、小腸などに存在していることから、
多くの臓器が影響を受けます。

新型コロナウイルス感染後に、体内では炎症反応が起こります。
本来はウイルスを排除するための反応が、知らず知らずに自分の体の細胞を攻撃し、過剰な自己免疫反応
起こす可能性があります。
さらに、この免疫反応によって 血液が固まりやすくなり、血栓が形成されると、各臓器への血液供給が
遮断されて多くの損傷を与えます。このようなダメージが後遺症の発症につながっている可能性があります。

新型コロナウイルスの後遺症って・・?

倦怠感 後遺症

後遺症はどのくらい続くの?

日本の国立国際医療研究センター病院による聞き取り調査によると、発症から2カ月で48%、発症から4カ月で27%の方が
何らかの症状があると回答しています。

一方海外からの報告では、イタリアでは発症後60日で 87.4%の方が、中国からのコホート研究では、発症後6カ月経過
していても76%
の方に何らかの症状が残っているとしています。


どんな後遺症が現れるの?

主な症状は、
・倦怠感・疲労感
・息苦しさ
・胸の痛みや違和感
・咳
・味覚・嗅覚障害

これ以外にも、関節痛、頭痛、目や口の乾燥、鼻炎、食欲低下、めまい、筋肉痛、不眠症、脱毛、発汗、下痢、
精神機能障害・認知機能障害などの症状が後遺症として報告されてます。

女性患者

田中さん

私の症状は、後遺症かも知れないのですね・・。
自分だけではないことに少し安心しましたが、これからどうすればいいですか・・?

まずは、どこの組織や臓器がダメージを受けているのかどうか、確認する必要があります。

きずなクリニック医師

医師

後遺症と今後の対応

肺の炎症の検査

新型コロナウイルス治癒後に続く後遺症で特に注意して頂きたいものは、次の3つです。
当クリニックの後遺症ケアを受診される方で最も多いのも、下記の症状です。

  1. 肺の後遺症(肺組織の損傷)
  2. 血液凝固
  3. 嗅覚・味覚障害(神経への損傷)

     

肺の後遺症(肺組織の損傷)

特に注意が必要なものは、肺組織の損傷です。

新型コロナウイルス感染後の影響が、左右の肺に瘢痕として残り、白い霧あるいは「すりガラス」のような影が認められます。
さらに進行すると、肺の細胞が炎症で傷ついて硬くなる『線維化』が起こります。
これにより、息切れ、咳、胸痛、全身倦怠感、頭痛などといった症状が出てくると考えられます。

肺の損傷があるかどうかは、胸部レントゲンまたは CT スキャン、併せて血液検査で確認します。



血液凝固

新型コロナウイルス感染そのものにより、血液が固まりやすくなる血液凝固異常が引き起こされ、静脈血栓塞栓症、肺塞栓、
脳梗塞といった血栓塞栓症の発症リスクが高まります。

新型コロナウイルス感染で血液凝固異常が起こりやすくなる理由は、まだよくわかっていませんが、感染によって引き起こされる
強い炎症や血管内皮が傷つくことが主な原因として考えられています。

治癒後に足の痛みやむくみ、腫脹、しびれ、激しい頭痛などが続く場合は、静脈や動脈に血栓が詰まったことが原因の可能性もあります。
血栓症の診断には、超音波検査および血液検査(白血球、炎症性タンパクCRP、D-ダイマーの測定)により総合的に判断します。



嗅覚・味覚障害(神経への損傷)

新型コロナウイルス感染初期に現れることが多い 嗅覚・味覚障害ですが、治癒後でも続く傾向があることが報告されています。

新型コロナウイルス感染により嗅覚障害が生じるメカニズムは、まだ十分には解明されていませんが、鼻粘膜の浮腫、鼻汁といった鼻炎症状により、匂いを感知する嗅細胞まで匂い物質が到達できないこと、また、新型コロナウイルスは神経に侵入しやすいため、嗅覚を司る神経が障害された可能性も考えられます。

味覚障害については、舌の味覚をつかさどる味蕾や神経への障害に加え、嗅覚障害によって食品の匂いが分からない風味障害の可能性もあります。

検査としては、新型コロナウイルス抗体検査のほか、嗅覚刺激検査、副鼻腔CTを実施します。
通常の風邪の後の休暇悪障害とは異なり、嗅粘膜が分布する嗅裂が腫れて閉塞しているような所見が認められる方も
いらっしゃいますので、CT検査を行う場合があります。

まとめ

新型コロナウイルス治癒後に後遺症が出ることが分かってきました。
後遺症に関する様々な報告が出ていますが、発症後6カ月経過後も何らかの症状が残る方がおられるようです。

後遺症の中でも特に気をつけて頂きたいのが、

1.肺の後遺症(肺組織の損傷)
2.血液凝固
3.嗅覚・味覚障害(神経への損傷)

です。
気になる症状がある方は、そのままの状態にしておくのではなく、きちんとした診断と検査を受けるようにしましょう。

きずなクリニックでは、新型コロナウイルス罹患者に対する往診のほか、
ご自宅で医師の診察を受けることができるオンライン診療も行っています。
また、世界各国のレポートを参考にしながら、後遺症ケアにも力を入れています。

健康面でのご相談は、WhatsAppやお電話で24時間受け付けております。
お気軽にご連絡いただければと思います。